週末飲食オーナー倶楽部(飲食店経営)-高樹公一さん

週末飲食オーナー倶楽部(飲食店経営)-高樹公一さん

年商1億6000万円! 週末飲食店オーナーで成功

働くのは土日だけ! 悠々自適の週末起業で3店舗の飲食店オーナーに!
サラリーマンでいながら、フランチャイズの飲食店を現在3店舗経営し、年間1億6000万円もの売上を上げている高樹公一さん。しかし、週末飲食店オーナーとして働くのは主に土日の数時間だけだったといいます。本業も週末起業を両立させながら、さらに多店舗展開を目指す高樹さんの週末起業のコツをお伺いしました。

高樹さんが週末飲食店オーナーを始めたきっかけというのは何ですか?
実は妻が会社を経営しておりまして、その関係で、とある飲食店の運営を任されることになったんです。ところが、お店の経営がなかなかうまく行かなくなった。とはいえ、本業のある妻がお店に入っていろいろと現場でお店の建て直しを図るわけにはいかない。そこで、私が会社のオーナーになり、代わりに飲食店を経営することになったんです。

憧れの飲食店経営ですが、私自身は、学生のときにホールのアルバイトをしたことがあるだけで、飲食店の知識があるわけではない。もちろん一介のサラリーマンですから経営の知識があるわけでもない。そこで考えたのが、フランチャイズの飲食店のオーナーです。うまくやればサラリーマンと両立できると考えたわけです。

しかし、飲食店店主とサラリーマンの両立は、実際、難しそうです
いきなり何百席もの大規模なお店の経営とサラリーマン生活の両立は難しいと思います。幸い、青山の飲食店のスペースは地下であることに加えて、小スペースでしたので、お客さんが入っても20 名強ぐらいだと判断しました。また、私は、飲食店の店主ではなく、オーナーを目指していたので、最初からお店に立つことは考えていませんでした。しかし、どうしても人がいなくて自分がお店に立つ事になっても、自分でもなんとか回すことができると考えたわけです。

なるほど。では、最初のお店はどんな業態を選んだのですか?
ラーメン屋です。フランチャイズのフェアに出席して、いろいろな業態を研究したのですが、地下でできるということと、少ない席数でお客の回転率を良くして稼げるという点で魅力を感じました。

また、周辺に牛丼屋やカレー屋はありましたが、ラーメン屋はありませんでしたから、お客さんを取り合うこともないだろうと考えました。

始めてから売上は順調に伸びていったのでしょうか?
2002年のオープン当初は、席数23席で月商550万円を達成していたんですが、徐々に売上が下がっていって、2年後の2004年の夏ごろ、売上が300万まで下がり、毎月赤字になってしまいました。店長や社員も全然定着しなくて、毎月募集をかけている状態。まさに経営の末期症状です。

何が原因だったのでしょう?
経営コンサルタントを雇ったり、覆面調査を依頼したりして分析した結果、「目立たない」「メニューやお奨めがわかりづらい」「お店が暗い感じがする」「不衛生な感じがする」など、サービス業としての基本がまったくできていなかったことがわかりました。

飲食店のオーナーとして、自己責任でスタートしたはずだったのですが、いつの間にか、自分のお店であることを忘れ、うまくいかないときはすべてフランチャイズの本部の責任にするなど甘えてしまっていたようです。

自分の貴重なお金と時間を費やしているビジネスなのだから本部の言うことを単純に聞いたり、責めるだけでなく、もっと自分で工夫して、経営をコントロールしていこうと考えを改めることにしました。

どんな改善策を実施したのですか?
そこで、まず実践したのが、①「サービス業としての基本の部分の徹底」です。具体的には経営コンサルタントと一緒になって、新しいメニューを考えたり、清掃をきちんと行うようにしたり、視認性が悪かったので看板を交換したり。とにかく思いつくことをなんでもやることから始めました。

次に実践したのが、②「定期的なスタッフとの打ち合わせ」です。経営コンサルタントなど外部の人間を入れて、経営改善に取り組んだものの、改善策はそれこそ無数にあるわけです。しかし、私としてはお店の売上が下がった本当の理由を知りたかったのです。業態が悪かったのか、それとも場所が悪かったのかなど、売上が悪いお店には、必ず最も大きな原因があるはず。それを知るためには、問題点の「見える化」を行わなければなりません。

そこで、お奨めや各ラーメンの特長がわかりやすいメニューを導入したり、看板を交換したりしたときに、売上にどのくらい反映したのかを現場のスタッフと一緒になって、改善策の効果をチェックすることにしました。土日は主に改善策を考える時間として、お店に赴いて打ち合わせをしていました。一方、平日は改善策の効果を検証するための時間に充てていました。

出社前や昼休みなどに電話連絡して、改善策の効果の情報交換などを行っていましたね。そこで、改善策が反映されていなければ、改善策を取りやめる指示を出したりして、細かく対応していました。

私の店で一番問題だったのは、お客様の立場に立った基本的なサービスの徹底がなっていなかったということと、地下にあるために視認性が非常に悪かったことでした。そこを重点的に改善していくことで、徐々に売上も向上して、月商は500~600万円に到達。純利益も毎月70~80万円とコンスタントに生み出すことに成功しました。

その成功を元に2店目、3店目を出店しました
そうです。2004年12月には中野駅前に同じフランチャイズのラーメン店を出店。続いて2005年4月には串焼きダイニングの店を赤坂にオープンしました。ただし、3店舗目となる串焼 きダイニングの店は、今まで行ってきたラーメン屋とターゲット層やお店のコンセプトが大きく異なり、また実際に行って、失敗したため、現在は飲食の業務委託のプロと共同経営という形で行っています。その分、利益が少し減ってしまいますが、迅速にお店を軌道に乗せ、定期収入を得るには、優れた集客ノウハウを持つプロと組む選択肢もあっていいのではないかと考えました。時間やノウハウ、人材をお金で買う感覚ですね。

また、多店舗展開はリスクが大きいと思われがちですが、一般的にフランチャイズの飲食店というのは、利益率が月商の1~2割程度。手堅く収入は入るのですが、1店舗だけではなかなか本業の毎月の給料を上回ることはできません。しかし、経営が軌道に乗りさえすれば、毎月の収入は予測できるわけですから、多店舗展開を行って、広く利益を上げていくという戦略を展開することが可能です。また、多店舗展開では、急に人が辞めてしまったときでも人材の移動がしやすいので、メリットは大きいのです。

開業資金はいくらぐらいかかりましたか?
実は自己資金はゼロです。なぜならば、現金は国民金融公庫から借入れましたが、施工や厨房器具などはリース・割賦契約で賄うことができたからです。

青山のラーメン屋を行うときに必要になった開業資金は、①フランチャイズの保証金や加盟金、②保証金などの物件取得費、③店舗工事費や厨房機械費用、食材などの仕入れ費用などです。①と②で700万円ぐらい、③で1200万円近くかかっていますので、トータルで1900万円ぐらいかかりました。結局リース・割賦を含め2000万円分を調達したことになりますが、サラリーマンをしていたおかげで借金はしやすく、金利も一般の個人の方より安かったですよ。サラリーマンは自宅を購入するために、平均して3000万円ぐらいのローンを組めるわけですから、2000万円は許容範囲だったようです。

週末飲食店オーナーに必要なことは、なんだと思いますか?
2つあります。ひとつは、人に気持ちよく働いてもらうための「人間力」です。たとえば、ラーメン店の場合でも、自分がお店に入って、ラーメンを作っているようでは、時間はいくらあっても足りませんし、本業にも支障を来たしてしまいます。人間力を鍛えて、他人に動いてもらえるようにしないと、オーナーとしてやっていけなくなります。

私はそのために、スタッフ一人ひとりと、何回もミーティングを重ねて、適性からやりたいことまで、話し合って、気持ちよく働いてもらえるような環境づくりを怠っていません。

もう1つは、ナンバー2を早く育てることですね。自分の考えを理解して、具体的な行動に移してくれる人材を育てることです。ナンバー2がいるかいないかで、その後の経営が非常に楽になると思います。

これからどんなことに挑戦したいですか?
業態はまだ検討中ですが、2007年春に新店舗をまた立ち上げたいと思っています。また、今まで培ってきた飲食店オーナーとしての経験をまとめて出版、サラリーマンのための飲食経営支援などを考えていますね。