週末起業コラム

出版企画が採用される人、されない人
樺木 宏(かばき ひろし)氏(その5)

「起業家登場!」現役起業家への突撃インタビュー


起業家として活躍する先輩達へインタビューを敢行!
彼(女)らのロールモデルから学びを深めてください。(〇聞き手 ●起業家)

前回のあらまし


新人発掘に特化し商業出版を手がける樺木さん。

出版企画を作ることは、まだ形になりきっていないビジネスをブラッシュアップする機会にもなり、週末起業家が本を出すメリットの一つだといいます。

樺木 宏氏(その5) 出版コンサルタント プレスコンサルティング代表


■出版企画が採用される人、されない人

◯樺木さんはたくさんの著者をサポートされていらっしゃいますが、実際には出版に至らなかったという人も多いですよね。

企画が採用される人とそうじゃない人は、どんなところに違いがあるんでしょうか?

●いくつかの段階があると思うのですが、基本的なところが、マインドセット、心構えだと思います。

本当に、あとちょっとで出版できたのに、結局出版できなかったときというのは、まさにこの段階に理由があり、自分の主張にこだわって編集部の指摘通りには変えたくない、つまり改善したくないという流れになってしまうのが原因です。

相手がどういうものを読みたいかというマーケットイン思考ができないタイプの方は、ものすごい実力があってもなかなか出版できなかったり、改善するのに時間がかかったりするケースが多いです。

次は、考え方ですね。

出版は一種のマーケティングなので、マーケティングに一切縁のない人がマーケティング思考の考え方を学ぶのに時間がかかるというのがあります。

最後はテクニカルな話で、たとえば題材が市場に合っていなかったりとか、ノウハウが他の著者と比べても同じようなものだったりとかの場合もあります。

技術的な話とは言っても、これは企画上の工夫で下駄を履かせてハードルを越えさせることができる部分なので、意外とここのところの問題は少ないなと思います。いろんな切り口があるので、さまざまなご提案ができます。


■企画書には編集者のサラリーマン人生がかかっている

◯マーケティングの話があったと思いますが、一方で出版社にとって出版はものすごい投資であるということを理解する必要がありますよね。

自分の主張にこだわるのであれば、自費出版でやりなさいということになりますけれども、商業出版ですからね。

●編集者にとって出版企画というのは、サラリーマンとしての評価が掛かっているものなのです。

編集会議で彼らがどのくらい上司や同僚に、その企画を出したことで精査されるかということを著者はあまりわからないものです。

企画会議で、ボロボロに言われるような社風の会社もあります。いい企画を出さないと、そのレベルの編集者だというサラリーマンとしての評価も決まってしまいます。

だからこそ、売れるような企画を求めているという編集者のニーズを理解することも必要ですね。

著者が、編集者が編集会議で輝けるようなネタを企画書に書くことができれば、出版もできるし編集者も喜ぶので問題ないのですが、著者としての自分のアピールに焦点を当てすぎてしまうと、世の中が欲している、売れる企画とズレてしまいます。

そこがマインドセットのズレだったり、マーケティングのズレだったりします。

すると、出版がなかなかできないということにつながってしまいます。だから、そこをクリアできるよう出版企画コンテストでブラッシュアップすれば、必ず出版はできると思っています。

(次号へつづく)

※間もなく受付開始します!アンテレクトの「出版企画コンテスト」
http://www.entrelect.co.jp/publish/contest.html