アセットデザイナーズ(週末ビジネスオーナー)-島居里至さん

アセットデザイナーズ(週末ビジネスオーナー)-島居里至さん

不動産オーナー、バー経営などさまざまな顔を持つ週末起業家

世の中は100年に1度の経済不況といわれ、トヨタやホンダといった主要自動車メーカーが減産を発表。生産調整のために「派遣切り」という言葉もセンセーショナルに語られています。世の中の景況感が悪化していくなかで、将来の収入減を見据えて週末起業をスタートするサラリーマンが増えているという話も聞かれるようになってきました。しかし、その一方で週末起業に費やす時間がない、起業のネタが思いつかないなど週末起業を始めるサラリーマンにとってはさまざまな課題が山積しています。
そんななか、某大手コンピューターメーカーの営業マンでありながら、都内に10部屋の区分所有(一部所有)のマンションを持つ不動産オーナーであり、さらに都内に3店舗のダイニングバーも経営するスーパーサラリーマンがいます。その名は島居里至さん。資産も知識もなく一介のサラリーマンから総資産2億5000万円、年商約9000万円の週末起業を成功させ、現在もサラリーマンとして第一線で活躍しています。彼の週末起業の成功の秘訣は一体何だったのか?まずは、週末起業を始めたきっかけからお伺いしました。

まず週末起業を始めたきっかけを教えてください
現在、不動産投資とダイニングバー経営の2つの事業形態で週末起業を行っていますが、ダイニングバー経営に至るまでには、いくつかの段階がありました。もともとは、サラリーマン投資家として株式投資を行っていたのですが、株価の乱高下が激しく堅実に収入が得られないことに株式投資の脆弱性を強く感じていました。そんなときに、ちょうど金利も相場も過去の統計から、比較的安いのではと考えて、都心のマンションに投資し、家賃収入を得るというサラリーマン大家を行うことを決意しました。2002年に自分が投資したいと思う物件を探し、2003年に初めての物件を購入しました。購入した物件はアパート一棟ではなくマンションの一室、いわゆる区分所有という形でスタートしました。所有物件は主に中高級マンションをターゲットとして都内の一等地に現在10部屋所有しています。現在は10部屋で毎月150万円の家賃収入があります。

ダイニングバー経営を週末起業でスタートしたのは、いつ頃になるのですか?
不動産による家賃収入が安定した頃、以前から温めていた飲食店を開業したいという夢を実現しようと考えました。当初は、フランチャイズ加盟も考えていろんなフランチャイズを見学しに行きました。何のノウハウも無くいきなりオリジナルで開店するというリスクを考えると、一般に広く認知されている安定した大手コーヒーチェーンに加盟するというのも一つの選択肢かと思い、セミナーに参加したりしたのですが、私は、コーヒーはあまり飲みません。考えてみるとやはり自分はお酒が好きだということがよくわかりました(笑)。リスクをとってオリジナルのアイディアで自分が好きな世界を表現できるダイニングバーで飲食店を始めようと思ったわけです。

2007年の4月に、カクテル技術の習得だけではなく、接客心理から店舗開発まで学べる専門学校に入学して半年間勉強しました。それと並行してスタッフ探しも力を入れました。最初の店舗を2007年の11月にオープン。現在は都内に3店舗を持っています。現在は3店舗で月商約600万円の売り上げを上げています。

不動産投資や飲食店経営に関する経験がないのにも関わらず次々に週末起業を成功させているようですが、その成功の秘訣はなんですか?
徹底したリスク分析だと思います。誰でも新しいことを始めるときにはリスクがつきものであるということは知っているでしょう。しかし、そのリスクがどんな種類のものであるのか、どんな知識を学べばそのリスクが回避できるのか、また、失敗したときにどんな被害を被るのかということに関してきちんと分析をしている人は意外と少ないように思います。

私の信条は、リスクを知らないことが最大のリスクだと思っているので、何か新しいことを始めるときには、リスク分析を必ず行います。そして自分の知識があやふやだったり、知らなかったことがある場合には、その部分をインターネットや本で調べたり、成功者に話を聞いたりして、リスクをロジカルに分析することにしています。そして、自分の投資ポリシーや経営理念に反するもの、自分のリスク許容度を大きく超えるようなものに関しては手を出さないようにしています。

不動産投資も飲食店経営も初期投資で数千万円単位のお金が必要になり、銀行に事業資金の融資を依頼することになるのですが、こうしたリスク分析の結果を事業計画書にまとめ、返済計画と一緒に提案することで審査がスムーズになりました。

リスク分析の方法は基本的には、成功者の話を聞いて、その成功した要因を徹底的に分析してみれば、具体的な成功のセオリーが見えてくるはずです。たとえば、私はオリジナルのダイニングバーをオープンするために、専門学校に半年間通いました。そこでは技術的なことを習得できた以上に、ダイニングバーの経営にはどんなリスクがあるのか、そしてそれを回避するにはどうすればいいのかということを学べたことが非常に重要だと思っています。何かを始めてみようと思っても第一歩を踏み出すことができない人は、何が起こるかわからないから行動できないと思います。しかし、何が起こるかがわかれば、実現に向けて第一歩を踏みだすことができると思っています。

そうしたリスクに対する考え方はどこで身につけたのですか?
本業です。私はいつもお客様にアプローチをするときには、事前に営業のシナリオを描いてからアプローチをかけるようにしています。競合他社と比べてうちの優位性は何か? 一方で他社の優位性はどこにあるのか? など総合的に分析してシナリオをつくってからアプローチをかけます。そうした考え方が週末起業でも生かされていると考えられます。おかげで毎期予算をクリアして週末起業を行っていても会社からとがめられるということは一度もありません。

週末起業のスケジュールを教えてください
平日は仕事が終わってから3店舗あるダイニングバーを回ることにしています。これは自分のお店にいらしてくださったお客様となるべく会話をすることを心がけているからです。お店の営業時間帯中すべていることはできませんが、バーノートという顧客ノートを活用してどういうお客様がその日にいらっしゃったのか従業員と情報共有を図っています。これも飲食店経営を行ううえでのリスク対策です。直接問題の発生している現場に赴いて自分の顧客と向き合うことで、お店でどういう問題が発生しているのか、その問題を改善するには何をすべきかなどを考えることができます。平日の金曜日の夜や土曜日は、朝の5時までお店にいることが多いですね。

どうやって週末起業の時間を捻出していますか?
平日の時間を有効に使うために、時間通り終わらせることができるようにハイパフォーマンスで仕事を終えるということです。できるだけ自分一人で仕事を抱え込まずに、皆で仕事を分担するようにしています。逆に、自分に余裕のある時は、チームメンバーを支援し、お互いに良い関係を作るようにしています。他人に気持よく働いてもらうために、自分の仕事の成果は人の何倍もの成果を出すように心がけています。週末起業のために寝ないで働くということも行いました。

今後の展開について教えてください
バーの経営は週末起業なのでスタッフの存在が重要です。今後の展開はサラリーマン大家のほうは、分散投資という観点と、昨今の円高の状況から自分が好きな地域への海外投資に力を入れていきたいと思っています。バーのほうは、今までオリジナルでやってきたので、今後は自分のブランドでフランチャイズ展開も行いたいと思っています。