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クリエーターズボックス(「絵のある電報」ネット販売)-田村全司さん

クリエーターズボックス(「絵のある電報」ネット販売)-田村全司さん

ネットでクリエーター集団をプロデュース!

才能あるクリエーターたちをバックアップしたい――。そんな思いから生まれたのが、SOHOネットワーク・チーム「クリエーターズボックス」。作品をお祝い電報としてオンライン販売するなど、個性派イラストレーターや写真家の活躍の場を創造します。 プロデュースした田村全司さんは、出版社に勤めるビジネスマン。忙しい本業の合間を縫ってこの仕事を手がけ、1年余りの準備期間を経て、オープンに漕ぎつけました。
週末起業家成功事例

まず、業務内容についてお聞かせください
クリエーターズボックスは、クリエーターたちが集まって立ち上げた任意団体。2002年10月に発足しました。さまざまな共同企画によって、ビジネスチャンスを広げたり、創作ヒントを得たりします。その第1弾が、お祝い電報のオンライン販売「文亭プロジェクト」。それぞれの作品を電報に仕立て、ネット上で販売、希望送付先に郵送します。

一番、大きな特色は何でしょう?
やはり、作品の完成度の高さでしょう。紙粘土細工を使った立体イラスト、動物キャラクターをエアーブラシと3DCGで処理した絵、デジタル撮影・画像処理にこだわったポートレイトなど、どれも個性的な顔ぶればかり。

おかげでこれまでの祝電にはない、アート感覚あふれる電報に仕上がっています。繊細なタッチのものや、ポップなものなど、バリエーションもいろいろ。立体に組み立てられるペーパークラフト作品もあります。

このほか、競合他社との違いはありますか?
ポイントはいくつかあります。第1は文字。色や大きさなど、作品に合わせて変えるシステムをとっています。第2に、料金は台紙ごとに定めており、文字数に左右されません。さらにメッセージを書き込む際は、「忌み言葉チェック機能」でお祝い事にそぐわない言葉をチェックできます。

また、完成した状態をプレビュー画面で確認することも。メッセージの位置や文字の色、大きさ、改行位置なども見られるうえ、修正もOK。そうそう、抽選のプレゼント企画もあり、送り手もわくわく感が味わえるのも「売り」ですね。

現在、何人のクリエーターが参加していますか?
今のところ、参加メンバーは6人。書籍、雑誌で活躍するイラストレーターや、装幀家、絵本、アニメーション作家など、腕も感性もピカイチの面々です。最近、書道家の方などからも問い合わせを頂いており、今後、ますます仲間が増えそうです。

クリエーター側のメリットとは?
自ら作品を販売すれば、クライアントに振り回されることもなく自律的に仕事ができます。オンラインですから、時間上の制約を受けることもありません。また、どんな作品が売れるか自ら確かめることで、マーケティング的な視点を持てるように。ほかのメンバーの作品を見るのもよい刺激になるのではないでしょうか。

任意団体ということですが、どんな組織ですか?
プロデューサー役の私やサイト技術者を含め、全員がSOHOとして活動。互いにメールでやりとりをおこなっています。サイトを通して、ゆるい連携を築いている・・・といった感じでしょうか。売れた台紙の枚数により、関わった人間がそれぞれ収益を得るシステムです。スタートしたばかりですが、売り上げは上々。自分の収入も、本業での収入に近づきつつあります。

起業の背景はどのようなものだったのですか?
構造不況の嵐が吹き荒れる出版業界ですが、あおりをまともに受けるのはフリーランスのクリエーターたち。仕事柄、長年彼らと付き合ってきた私は、内心、忸怩たる思いを抱えていました。すばらしい技術と感性を持ちながら、クライアント側の事情に翻弄されざるを得ない――。このままでは、日本のクリエーターは潰されてしまう、という危機感すら抱くようになりました。

具体的なきっかけはあったのですか?
そんなときに、ロバート・キヨサキ著の「金持ち父さん貧乏父さん」を読んだのです。目からうろこの体験でした。「自分の人生は自分でコントロールできる!」という発見は新鮮でしたね。そしてこのとき、同時に気づいたのです。「会社に人生をゆだねるのではなく、自ら道を切り拓かなくては」と。

背中を押したのは、藤井孝一さんが連載していた、日経SmallBiz「週末起業のすすめ」。「会社に勤めながら起業する」などということが現実に可能なのだろうか、と最初は本当に驚きました。その後、熱心にこのコラムを読むようになり、やがて「自分にもできるのでは」という自信を持つようになりました。

構想はどのように生まれたのですか?
ある日、前職の後輩から電話がかかってきたのです。「電報のオンラインサービス事業をしてみたいが、いくらかかるか調べて欲しい」。最初は何の気なく引き受けたのですが、調べるうちに「自分ならこのビジネスを立ち上げられる」と思うように。

仕事柄、周囲にはクリエーター、プログラマー、ウェブデザイナー、IT技術者がいくらでもいました。必要な人的資源はみな揃っていたのです。後輩に、「ざっと500万円かかる」と告げると「あきらめる」と。「じゃあ、自分にやらせてほしい」と申し出ました(笑)。

本業と並行しての立ち上げは大変だったと思いますが
知り合いのクリエーターに声をかけると、みんな二つ返事で乗ってくれました。そこで互いに出資し合い、実質的に動き始めたのです。プランニング、プログラム開発、検証と過程を経るのに、1年余りかかりましたね。

毎日、帰宅してから12時半くらいまで作業、作業。睡眠時間4時間という日もざらでした。体力的にも精神的にも限界を感じるようになったので、しまいにはマイペースで取り組むように。他のメンバーの仕事が速いので助かりました(笑)。

家族や職場には相談したのですか?
妻にアイデアを話すと「面白そうじゃない」と。同僚たちには、「イラストレーターや写真家の作品を紹介するサイトを作る」と話してあります。コンセプトに共感してくれる人も少なくないようですね。

壁にぶつかることは?
SOHOネットワークなので、やりとりはメールが中心。ちょっとした言葉の行き違いから誤解が生じることはありました。危うくケンカに発展しそうになったことも・・・。会社と違い、顔の見えにくい組織だからこそ、きめ細かな対応を心がけなくては。

また、サラリーマンとクリエーターでは、ものの考え方や仕事の進め方が違うな、と感じたことは多々あります。彼らの身になって考えるようにしたいですね。そんな観点から、台紙に使う紙にもこだわりました。仕上がりの色合いにブレが生じないよう、配慮しているつもりです。

最後に展望をお聞かせください
海外のクリエーターやプロダクションと提携し、互いの作品を売買するのが夢。日本人の感性のすばらしさを世界に広く理解してもらえたら、と考えています。会社という枠にはめられなくても、ひとりひとりが自立し、支えあうことは可能。今後も緩いけれど、確かな連携を築いてゆけたらいいですね。