週末起業コラム

「私は書けない」は根拠のない思い込み
樺木 宏(かばき ひろし)氏(その4)

「起業家登場!」現役起業家への突撃インタビュー


起業家として活躍する先輩達へインタビューを敢行!
彼(女)らのロールモデルから学びを深めてください。(〇聞き手 ●起業家)

前回のあらまし


樺木さんが商業出版を手がけた著者には何冊も書き続けている人が複数います。その理由は、本にも「賞味期限」があるから。

時代の流れが非常に早い現代はビジネスの成功で注目される期間が短く、新しいポジションを得るためには本を出し続けることが有効だといいます。

樺木 宏氏(その4) 出版コンサルタント プレスコンサルティング代表


■出版企画がビジネスモデルを磨く

◯確かに本を書くのは結構重労働ですし、いろんな切り口を考えなければいけませんよね。

それさえできてしまえば、そこから講演のネタをつくったり、講座に展開したり、コンサルティングにしたりと結構、次の行動は簡単かもしれないですね。

僕もコンサルタントになるときにある先生に弟子入りしたんですけれども、商品を作らなくてはということになったときに、本を書けと言われました。「本を書ければそれが商品になるよ」とアドバイスを受けて、当時は、すごくビックリしたんですね。

僕の中では商品があってクライアントがいて、そういう人が本を書くものだと思っていたのですが、実際にはまず書けということだったので。その辺はどうなのでしょうか?

●それはまさに私が言っている週末起業家が著者になるメリットだと思います。

出版企画をつくることで、今はまだ形になりきっていないビジネスがすごく明確に形になるし、売れるポイントにも磨きがかかってきます。出版というハードルをクリアする中で磨かれるというわけですね。

実は、すごく短い時間で自分が作れる最高のコンテンツが出版企画だと思っています。

ところが、出版社から見るとそれは逆の話で、実績を作ってから出版企画を出して下さいという話になってしまうんです。

◯そこで樺木さんみたいな専門家が入ってくれると心強いですね。

確かに、本を書いてみると、ビジネスの中にいろいろ抜けがあることに気がついたり、または自分の棚卸しができたりと、企画を考えるだけでもビジネスモデルの研究になりますね。

●他に例がないオリジナルのビジネスをいきなりスタートさせてしまうと、失敗することも少なくありません。

しかし、出版企画を考えることでテストマーケティングのような状態をつくることができます。

自分が提案した企画が差し戻されれば、伝え方が間違っていたり考え方が時流に合わなかったりしているということですから、いかに切り口を変えて自分の強みを洗練させていくかが重要になってきます。

◯世に出す前に樺木さんであったり、編集者であったりと、自分のビジネスモデルがいろんな人の目に触れるというのは、すごく貴重な体験ですね。

●そうですね。人間ですから、自分の出版に対するただ書きたいという想いだけでは、その考えを商業ベースとして捉え直すことが難しかったりするのですが、そこはいろんな人の目に触れることで右脳と左脳をコントロールすることも必要だと思います。


■「私は書けない」は根拠のない思い込み

◯本を書きたいという人も多いと思いますが、同時に自分に書けるのか疑問に思う人も多いはずです。

特にまだ書いたことがない人たちがほとんどだと思うので、出版はハードルが高いような感じがするのですが。

●実際は、多くの方が思っている以上にハードルは低いんです。まず自分に書けるかどうかというのは、イメージだけで語っている場合が多いんです。

自分には書けないと思ったという判断の根拠を聞くと、語れないことが多くあります。ということは、そのような判断自体が怪しいということになります。

イメージだけで判断していたり、ミリオンセラーになっている人の書籍しか見ていないためにその肩書きだけを比較して判断していたりといったことが多いので、自分の思い込みを捨てるというのが重要ですね。

◯会社勤めの方でもこれからビジネスを始める方でも、まずは挑戦をしたらいいということですかね。

(次号へつづく)

※アンテレクトの「出版企画コンテスト」
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