週末起業コラム

ピンチはチャンス!転機はリーマンショック
長谷部ナオキチ(はせべ なおきち)氏(その2)

「起業家登場!」現役起業家への突撃インタビュー


起業家として活躍する先輩達へインタビューを敢行!
彼(女)らのロールモデルから学びを深めてください。(〇聞き手 ●起業家)

前回のあらまし


ビジネスで武器になる写真"というテーマに特化したフォトグラファーとしてご活躍されている長谷部ナオキチさん。

現在のキャリアの出発点となったのは、主宰していた絵画教室だけで食べていけなかったことでした。

収入を得る道としてコピーライターに転身し、誌面の編集ディレクションまで担当するようになります。

長谷部ナオキチ(はせべ なおきち)氏(その2) キメ☆フォト フォトグラファー


■起業そのものはスムーズだった

◯編集ディレクション経験を経て、リクルートの就職情報誌事業部で働くことになったんですね。

●はい。事業部では『B-ing(ビーイング)』や『とらばーゆ』など中途採用の情報誌の広告制作を担当していました。

広告制作では、採用担当者にインタビューをして会社の情報や採用にかける想いとか、応募者が採用会社に共感するエピソードを丁寧に取材して、文章と写真で表現するということをやっていました。

その頃は、広告関係の仕事もたくさんあったし、クリエイターの人たちは、ある期間組織に所属してからフリーになるという流れが一般的でした。ですので、起業のハードルはまったくありませんでした。

◯なるほど。

●事業部に8年間いて、その後一度別の編集プロダクションに移ったんですけれども、そこでもリクルートの仕事をやっていたんですね。

当時私は、リクルートの広告制作部からお仕事をいただいていただけでなく、リクルートの広告代理店の方からも仕事の依頼を受けていました。

プロダクションを辞めるときに、会社の社長が、「仕事を引き継げる人はいないから長谷部さんの仕事は持っていっていいよ」といってくれました。

会社の仕事をそのまま持って独立したので、お客様は最初からたくさんいましたね。

その頃から自分の広告の誌面を作るための撮影をスタートさせまし た。もともと実家が写真館でカメラも持っていたというのもありますね。


■転機はリーマンショック

◯複数の企業から専門性の高い仕事を業務単位で請け負うインディペンデント・コントラクター(独立業務請負人)ですね。

しかし、独立してもいわゆる下請け仕事をしているだけでは真の起業とはいえない、といいますね。

●ええ。まさにそうで、広告制作の下請けの仕事は発注者からの要望通りに広告を作ることになります。

つまり、発注会社の都合に左右されてしまうのですが、まさにリーマンショックの影響で採用市場が急激に落ち込んでしまったんですね。

当時、ある会社の求人サイトの広告制作をやっていたのですが、リーマンショック前は、月に15本から20本あった仕事がリーマンショックの次の月から激減して最後にはゼロになってしまいました。

一方である会社の観光サイトの仕事も請け負っていたのですが東日本大震災の影響で、この仕事もなくなってしまいました。

そうしたことが重なったことがきっかけで一から撮影の仕事を設計し直してみようと思いました。

写真だったら自分で企画した商品を自分で制作し、エンドユーザーに届けることができると考えたのです。

(次号へつづく)