週末起業コラム

セミナーで顧客を獲得する際に大切なこと。
橋本昌彦氏(その4)

「起業家登場!」現役起業家への突撃インタビュー


起業家として活躍する先輩達へインタビューを敢行!
彼(女)らのロールモデルから学びを深めてください。(〇聞き手 ●起業家)

前回のあらまし


意地を張って、何でも一人でやろうとするのは良いやり方ではないと気づいた橋本さん。今は「起業したらすぐ仲間を探しなさい」と伝えるようになりました。

橋本昌彦氏(その4) 株式会社アントレマインド代表


〇橋本さんは"セミナーで顧客を獲得する専門家"というポジションも獲得しているようですが、それは意識してブランディングされているからなのでしょうか。

●実はセミナーで顧客を獲得することは、私にとっては当たり前のことだったので、セミナーで顧客を獲得「できる」ことに価値があるとは最近まで気付いていなかったんです。

でも私自身の、セミナーで集客できなかったり、集客してもクライアント獲得に繋がらなかったり、という上手くいかず苦しかった経験があるから、セミナーを開催する時の注意点をしっかりと体系化し頭に入れています。

それを踏まえて皆さんにお伝えすることで、非常にわかりやすいセミナーだとご好評をいただけるようになったんです。

私はそこが専門だとは思っていなかったんですけれども、5年も一生懸命やっていると、結構な知識が蓄積されるんですね。

それと私は、ドリプラで人を共感させるプレゼンテーション作りの支援をずっとやってきました。2000人を超える人たちを支援する中で、聞き手が共感するポイントが見えてきたんです。

たとえば、プレゼンではうまく話す必要はありません。自分が本当に苦労してきたことや失敗した内容を伝えると、「私も同じような状況に置かれている」と感じてくれる人がいます。

そういう聞き手に、「この人だったら、一緒になってやっていける」と感じてもらうことこそが共感だと思うので、そういう内容をセミナーにも織り込んでいきます。

そうすると、共感してくれた人の中から、たまたまぴったりタイミングがあった人がクライアントになってくれます。

そんな形がパターンとして見えてきたので、それを踏まえてお伝えするようになりました。

〇共感するポイントは人によって違うと思いますけれども、一般論として、だいたいこの辺が押さえどころだなというのはありますか?

●はい。「これに人生を賭けたい」という熱意のある思いが伝わるのが一番の共感してもらえる「ポイント」ですね。

ちなみに、自分の気持ちを共感してもらえる「パターン」には2つあります。

ひとつは、「自分がすごくつらい思いをしたから、同じような経験をしている人を助けたい」というパターン。例えば、うつ病になった経験を活かして、うつ専門のカウンセラーをやっている人などはこのケースですね。

ご自身のつらい経験、そして「他の人に同じ思いをさせたくない」という気持ちを伝えられれば、「この人はうつ専門のカウンセラーとして人生を賭けているんだな」ということを相手も感じるんです。

もうひとつは、「好きで好きでしょうがない」パターンです。ちょっと極端な例ですが、鉄道ファンで、鉄道模型の販売代理店をやっている人がいます。

そういう人って、周りから変わった人と見られがちです。しかし、本人はそうした世間の目を気にせずに何十年も鉄道ファンを続けてきた。そういう話をすると、同じような経験をしている鉄道ファンの心に刺さります。その話に共感するわけですね。

結果、遠方からわざわざ来てこの人の店で買ってくれたりするような、深い信頼関係ができていきます。この2つのパターンは入口こそ違えど、人生を賭けてやっているという熱意が伝わりますよね。

〇なるほど、人生を賭ける。なかなか付け焼き刃では出来ないようなことですね。

●そうですね、ちょっと勉強してそれを商品に仕立てようとしても、メッキはすぐにはがれます。

自分の体験や人生観と深くリンクするようなものが商品になっていると、非常に売りやすいですね。自分に強く共感してくれる、熱烈なファンをつくっていくということが大切だと思います。

(次号へつづく)