週末起業コラム

週末起業家登場〜西方志津子さん

好きなものだから続けられて、成功できる

週末起業でスタートしやすいビジネスのひとつに、物販があります。しかし、物販といっても何をネタに物販ビジネスをスタートするのかで、結果は大きく変わってきます。いくら儲かるからといって、自分の嫌いなもので物販をスタートしても続けることができません。では、どうすればよいのでしょう?

過去の週末起業家で物販で成功された方の多くは、“好きなもの”をテーマに物販をされています。ヨーロッパのデザインの靴、外国の洋服など、自分の好きなものをテーマにしているからこそ、長く続けることができて、着実に成功することができているのです。

今回、ご紹介するのは、Blythe(ブライス)ドールの販売で週末起業をスタートした西方志津子さん。ブライスドールは、三頭身で大きな目が特長のアメリカ生まれの着せ替え人形(1972年ケナー社より発売)。日本では2000年にパルコのキャンペーンに使用されたことから、大ブレイクし、現在では大人も楽しめるファッションドールとして多くの人に知られています。自分で髪の毛をセットしたり、エアブラシでお化粧をしたり、手作りの自作服を作ったり……。ファンによる交流も盛んで大きな盛り上がりを見せています。

しかし、純粋に楽しむファンが多いからこそ、ビジネスにするのは、なかなか難しいケースもあります。どのようにビジネスモデルをつくってスタートしたのか、まずは経緯からお伺いしました。

大好きなブライスドールを起業ネタに

最初にブライスを知ったのがパルコのCMだったという西方さん。すぐにブライスドールの魅力に取り憑かれ、コレクターになったといいます。

西方さんが当時からハマっているのは、毎年発売されるアニバーサリードールの購入だけでなく、通称「カスタム」と呼ばれるドールを加工するカスタマイズ。なかでも、カスタムについては、世界でただ一つの自分だけのブライスドールが手に入るとあって、多くの人から、カスタムの方法を教えて欲しいという依頼が知り合いを中心に殺到していたそうです。

そこで西方さんは、2007年にブライス人形のカスタム作家として、ホームページを開設。翌年には人形展のイベントを主催するまでになりました。もともと趣味でスタートしたブライスドールとの関わりですが、自分のカスタム作品が多くの人から支持されるのを見て、自分の好きなことで起業をしたいと本気で考えるようになりました。

起業を思い立ってから週末起業を知り、2014年1月に週末起業のセミナーを受講しました。そのときに、「好き」をキーワードにマインドマップを描いたところ、ブライスドールが好きだと再認識したそうです。

ブライスドールの代理店になることを決意

その後、週末起業大學を受講し、ネットショップの開業の仕方を学びました。ブライスドールは、毎年アニバーサリードールとして、限定品のドールが発売されています。これらのアニバーサリードールは発売数量を限定しているため、先着販売で行列ができることも珍しくないといいます。そして、新作を購入できなかったコアなファンは、なんとかして手に入れたいと思うもの。そのため、ヤフーオークションなどでは、新作が定価の2倍にもなることも多いそうです。

「新作ドールを買いそびれたファンを対象にして、物販を行えばファンも喜ぶし、ビジネスとして成り立つかもしれない」と西方さんは確信したそうです。

そのために仕入先の確保が最も重要だと考えていた西方さんは、当初、ヤフーオークションやebayといった国内外のオークションで仕入先を探していました。しかし、価格面で折り合わなかったりして「壁に当たっていた」(西方さん)といいます。そこで、卸業者に直接交渉をしてブライスドールの代理店になることに決めたのです。しかし、代理店となるためには、実店舗も必要ですし、商品の置き場所も必要になります。

いろいろと悩んだ末、実店舗は自宅の一部屋を改装して7月から自宅ショップをオープンし、倉庫は実家につくることに決めました。当初、ブライスドールに理解がなかったご両親も、西方さんが、真剣にブライスの魅力とビジネスとしての有望さを伝え続けたことで、最終的に協力してくれることになり、資金援助まで申し出てくれたそうです。

物販で成功するための3つの法則

物販で成功するためには、「誰に買っていただくのかというお客様を明確にすること」(顧客化)、そして、そのお客様に対して「どのような商品を提供するのかを決めること」(商品の育成)、さらに、お客様に喜んでいただくために「誰から商品を調達するのかを選択し、関係を維持すること」(仕入れ先との信頼関係)の3つが大切です。西方さんは、好きなことで起業できたことで、この3つ軸を自然に見つけることができて、ビジネスを少しずつ軌道に乗せています。

最近では、近隣のネイルサロンに依頼して自分でカスタムしたドールを展示してもらったりして、口コミを増やすための宣伝活動も行っているそうです。そのおかげで、ネイルサロンのお客様が、結婚式の記念にドールを注文してくれたり、東方神起ドールを注文もしてくれたりということもあったとのこと。今後は、ファンの記念日を一緒に祝うことができるカスタムドールをつくって、さらに満足してもらえるような魅力的な店にしていきたいと今後の抱負を語ってくれました。